バニラ -エッセンスはお菓子作りに欠かせない材料-
甘い独特の香りが特徴の“バニラ”。製菓の香料や香水の原料として使用されています。ほとんどがバニラビーンズやエッセンスとして流通していますが、観賞用のバニラの美しい花を眺めるのも素敵です。
バニラとは?
バニラは香料として使用されるラン科バニラ属の植物です。原産国はメキシコや中央アメリカですが、現在の主な栽培地はマダガスカルやブラジル、グァテマラ、インドネシアなどが多いです。日本でも福岡などで栽培しています。
バニラというと見かけるのが「バニラビーンズ」「バニラエッセンス」「バニラオイル」の三種類。
バニラビーンズはバニラの種子そのもので、房を収穫した後にそのまま発酵→乾燥をおこなうことで香料として使用できるようになります。バニラ独特の香りは決してもともと発しているものではなく、「キュアリング」という段階を経ることで香りをだすようになります。
バニラエッセンス・バニラオイルは種子から抽出した成分を溶剤に溶かしてつくられています。しかし、バニラの房は1本あたり300円程度と非常に高価なため、人工的な香料を使用してつくられることが多いです。
人工的な香料を使用せずに純粋にバニラの房を使用してつくられたバニラエッセンスは「バニラエキストラクト」と区別されているので、本物の香りを楽しみたいという方は、バニラビーンズそのもの、または、バニラエキストラクトを購入することをオススメします。
バニラの歴史
バニラを育てていたのはメキシコのトトナコ族。この民族は古代からバニラを栽培していました。また、驚くことにその時代からキュアリングをおこなう技術をもっていました。
それを見つけだし、チョコレートの香りづけと使用していたのが「コロンブス」。そして、そのバニラの魅力を伝えるべく、ヨーロッパに持ち帰ったのがスペイン人征服者エルナン・コルテスです。
しかし、バニラの株を持ち帰りヨーロッパ、インドで栽培に挑みましたが、結果はことごとく失敗。16世紀~19世紀にかけてはメキシコがバニラの栽培・販売を独占していました。
バニラをつかった食べ物・商品
バニラを使用している食べ物の代表は「アイスクリーム」だといっても過言ではないでしょう。アイスクリームのプレーンの味も「バニラ」と称されていることがほとんどです。
その他はカスタードクリーム、プディング、ウィスキー、たばこ、香水に至るまでさまざまな食べ物・商品に使用されています。
バニラは自分には接点がないと思っていても、実は知らず知らずに口にしていることが多い香料。古代から続く甘くおいしそうな香りがたくさんの人を魅了しています。