ズコット -聖職者の帽子が名前の由来-
ドーム型をしたケーキ“ズコット”。ふわふわのスポンジにセミフレッドやジェラートがたっぷりとはいったお菓子です。
ズコットとは?
ズコットはドーム型のスポンジ生地の中にセミフレッドやジェラートがつまったケーキです。イタリアのトスカーナ地方で16世紀頃につくられたものといわれています。
中につまっているセミフレッドにはリコッタチーズやヨーグルト、ナッツ、チョコレート、ベリー、アマレットなどが合わせられているので、クリームを占める割合が多いケーキですが最後までさっぱりと食べきることができます。
ドーム型の形状は15~16世紀頃の兵士の兜「ズッコット」とカトリックの聖職者が被っている「ズッケット」、教会の半球形の屋根「クーポラ」を意識したものです。
名前の由来もズッコット、ズッケットからきています。
ズコットの歴史
ズコットをはじめてつくった人は菓子職人ではなく、建築家・彫刻家・画家・軍事技術者など、さまざまな才能をもったベルナルド・ブオンタレンティといわれています。
つくるきっかけとなったのは、当時イタリアのフィレンツェで有力な支配者でもあったメディチ家に気に入ってもらうためでした。
当時は冷凍する技術もまったく発達していなかったので、ズコットのようなアイスケーキをつくりだすのは非常に困難でした。
しかし、ベルナルド・ブオンタレンティは食品の冷凍技術の第一人者でもあったため、他の人ではなかなか開発できないお菓子をつくりだすことが可能だったのです。
ただ、やはりそれほど冷凍技術が発達していなかったので、庶民が食べる機会はなくズコットの存在は忘れられていました。
それを1950年、16世紀のレシピをもとに復元したのが、フィレンツェの老舗洋菓子店「シニエ」です。
ズコットのつくり方
ズコットはボウルにカットしたスポンジを並べ、そこへナッツやリコッタチーズ、リキュールなどを合わせたセミフレッド、ジェラートを流し、スポンジで蓋をして冷やせば完成です。
気をつけたいポイントはクーポラのような見た目を再現するように、縦に線が入るようにスポンジを並べること。セミフレッド、ジェラートが溶けてしまったものを再冷凍するとガチガチに固まってしまうので、溶けきらないうちに手早く流し込むことです。
冷凍技術は発達した現代であればお家でも簡単につくって食べることができるお菓子です。表面に粉砂糖やココア、チョコレートなどを飾って食べるのもおすすめですよ。